飼い猫、野良猫の扱い方の実用ガイド
世界動物保護協会(WSPA)は、世界91ヶ国に400以上の加盟団体のネットワークを有する国際組織です。WSPAは、国際連合(UN)と欧州会議(CoE)に代表を派遣し、世界保健機関(WHO)とヨーロッパ獣医連盟(FECAVA)と協力して活動しています。
WSPAの「ペットの尊厳を守る活動」では、地域社会におけるペットの処遇改善を目指しています。
1997年 初版発行 2001年2月 改訂版発行
訳者 林裕美子
目次
付録
このガイドは、WSPAが発行する「野良犬対策」とともに、1993年に出版されました。個人、動物保護団体、市町村行政当局、動物を扱う専門家が、人道的で効果的な猫の世話の仕方や繁殖対策について知り、それを実施していくのに役立ててもらうことを目的としています。
多くの先進国では、いまや飼い猫の数は飼い犬の数を上回っています。猫は、小さくて忙しい現代の家庭には理想的なペットと言えます。優雅な立ち居振る舞い、清潔で鳴き声をたてず、可愛がると反応するけれども、うるさくまとわりつきません。しかし猫も、世話をし、可愛がってやらなければなりません。放っておいたり、虐待すると、家に戻ってこずに野良猫の仲間入りをするでしょう。妊娠中の猫が子供を産むために家を去ると、自由生活をする猫、あるいは野良猫の集団が新たに生まれることになります。
一組の猫から生まれる子孫は、6年間で42万匹にもなるかもしれません。
暖かい地方では、猫はほとんどの時間を戸外で過ごし、人からは、最低限の食べ物をもらい寝場所を提供されるだけかもしれません。自由生活をしていると、人に繁殖を制限されることがなく、生まれてくる子猫は、餓死したり、病気、事故、虐待に会ったり、他の動物から攻撃されたりする危険があります。
猫の世話と繁殖対策に関するWSPAのプログラムは、「WSPAペットの尊厳を守る活動」の一環です。
活動を進めていくには、3つの段階を踏まなければなりません。
- 飼い主は、飼い猫の世話や、繁殖しすぎないような対策についての責任を負うことを伝えていきます。
- 猫の保護にたずさわる人には、飼い主がいない猫には良質な収容施設を用意したり、里親を探すなど、保護するための環境を改善をしていくよう促し、また避妊去勢キャンペーンを推し進め、野良猫が置かれている状況を理解するように求めます。
- 関係省庁や地方自治体に、法整備や一般市民の啓発に力を入れるよう助言していきます。こうすることで、猫の置かれた状況が改善され、飼い猫に対する飼い主の責任意識が高まります。
本冊子は、このような活動を推し進めていくのに必要な情報を盛り込んでいます。
人が家畜化した動物のなかで、猫は、一番最近になって人に飼われるようになった動物です。まだ完全に家畜化されていないので、最低限の世話をするだけで繁殖できるという人もいるでしょう。にもかかわらず、猫は今では、すっかりペットとして定着しています。2000年現在で、ヨーロッパには、4100万匹以上もの猫がいると言われます。
飼い主が、猫を飼うことの一番の恩恵として挙げるのが、寂しさを紛らわせてくれるということです。この他にも、血圧を下げるなどの健康面でのメリットもあります。うれしそうにのどを鳴らす猫をやさしくなでることほど、気が休まることはありません。
子供にとっても、自分以外の存在に気を配り世話をすることは、情操教育にうってつけです。高齢者にも歓迎される動物で、精神衛生的な治療効果を期待できます(I. Robinson編集、「人と動物の関わりについてのウォルサムブックス:ペットを飼うことの効能と責任」1995年、Pergamon Press出版)
イギリスには800万匹以上猫がいますが、出生暦が明らかな猫は8%ほどに過ぎません。大半は、購入したものではなく、友人から譲り受けたり、捨て猫を拾ったりしたもので、最近では、動物愛護団体などの保護施設から貰い受けるケースが増えています。他の先進国でも状況は似たようなもののようです。
飼い猫は、かなり広い範囲をなわばり確認して歩きます。去勢されていない発情期の雄猫や、安全な出産場所を探している雌猫の場合には、特にこの傾向が強いようです。きちんと餌をやらず、寝床を用意しない飼い主や、飼い主や子供から不当な扱いを受けている家庭には戻らないことも多いでしょう。
餌を貰えなかったり、家に入れてもらえないような場合には、他の場所で餌やねぐらを探し、面倒をみてくれる近所の家に居つくようになるでしょう。
猫を飼う気がなくなった場合、猫が病気になったり子供を産んだ場合には、飼い主が猫の世話を放棄することもあります。このように放棄された猫や、引っ越して出て行った家に置き去りにされた猫を、捨て猫と呼びます。故意に猫や犬を捨てることは、多くの国で違法と定められています。
このような捨て猫は、別の人に拾われなければ、飼い主がいない猫集団を構成することになり、食べ物を盗んだり、子猫を生み続けたりといった被害を出すようにもなるでしょう。病気になっても治療を受けられず、餓死する場合もあるでしょう。路上に病気の猫がたむろしているような光景を見ると、猫の保護運動をしなければいけないという気を起こさせます。
飼い主がいない猫とは、以前は飼い猫であったものが、迷って家に帰れなくなったり、家出をしたり、捨てられたりした猫のことです。飼い主が死亡したり病気になったりしたのに猫の面倒を見る人がいないようなときには、故意に捨てたのではないのに飼い主がいない猫になる場合もあります。
このような飼い主がいない猫への対処の仕方については、「第2章―飼い主を失った猫の対策」で扱います。
家に寄りつかなくなった猫が人に慣れていない猫の場合には、人が差し伸べる支援を拒絶することもあります。ねぐらがあり、餌がふんだんにあれば、自由に生きることを好むでしょう。
暖かい地方ならば、きちんとした寝床は必要なく、小動物を捕らえたり、人の家やゴミ箱、レストランが出すゴミなどをあさったりして生活できます。飼い猫でなくても、人の生活と関わりながら生きていくことができます。
野良猫に餌を与える人は、飼い主としての自覚がなく、餌をやる以外のことはしようとしません。そうすると、猫は増え続け、やがてその地域では維持できない数に達します(許容範囲とは、限られた地域内で、十分なねぐらや餌を確保できる猫の最大数を指します)。このような状況下で生まれた子猫は、病気で死ぬことが多くなります。人が干渉しなければ、猫の数を制限する要因は、餓死、病気、事故ということになります。
繁殖数を制限する方法の一つは、子猫のうちに獣医や動物保護施設に連れて行き、里親を見つけるか、安楽死させるかというものです。
気候が寒い地域の野良猫は、定期的に餌を貰わなければ、めったに生き延びることはできません。野良猫の一群が存在する場合には、ほぼ間違いなく、定期的に餌をやりに来る人がいます。
野良猫が野性の動物のような行動をとる場合は、野生化した猫と呼びます。自由に生活している猫は臆病で、人が捕まえようとしても近寄れず、攻撃的な行動をとります。このような自由生活の境遇で生まれた子猫は、離乳前の早い時期につかまえなければ、人に慣れることは難しくなります。
人との接触を避けて生きている野生化した猫をつかまえるときは、人に慣れた野良猫をつかまえるときとは異なる手段で、慎重にする必要があります。
飼い主のいない猫に里親が見つかることもありますが、捨て猫をなくす対策として最も効果的なのは、外科的な避妊去勢手術により出産数を減らすことです。
避妊去勢手術は、まずは、飼い猫に施すよう運動を進めていくのがよいでしょう。飼い猫は世話が行き届いているため、産む子猫の数も多いものです。猫を飼っている市民や獣医が避妊去勢手術の必要性と重要性に気付けば、野良猫や自由生活をする猫にも避妊去勢手術を施すという考え方は受け入れられやすくなります。
避妊去勢手術は、子猫の数を減らすという効果の他にも、利点があります。
雌猫 卵巣を摘出して避妊した雌猫は、発情期が来なくなるので、雄猫を呼び寄せることもありません。このため、子宮や卵巣の感染症や腫瘍にかかる危険性がなくなり、乳房腫瘍の危険性も大きく減少します。
雄猫 精巣を除去して去勢した雄猫は、おとなしく、性格が穏やかになります。雄猫特有の強い尿の匂いもなくなり、尿をひっかけて回る頻度も減ります。放浪する範囲も狭まるため、交通事故に会う危険も減ります。他の雄猫とのけんかも少なくなり、咬み傷から伝染性の病気に感染したり膿瘍を作ったりすることも少なくなります。避妊去勢手術はいつ実施しても構いませんが、若い方が良いでしょう。ヨーロッパでは、性的に成熟した時か、その直前に実施するのが一般的です。ちょうど生後5、6ヶ月の時期に当ります。
年数が経ってから雄猫の精巣の除去をしても、性的習慣をすべてなくすことはできませんが、ひどい尿の匂いはなくなります。雌猫も、年数が経ってから避妊した場合は、それまでの生活習慣は、ほとんど変わりません。
雌猫は避妊する前に授乳をさせるべきだという考え方を裏づける科学的根拠は全くありません。それどころか、避妊前に発情期を迎えたり、授乳を行なった猫は、高齢になってから乳癌にかかる危険が増します。
生後8週目からの早期の避妊去勢は、現在では効果のある処置として容認されています。これにより、避妊去勢ずみの子猫を動物保護施設から引き取ることができるようになります。生後6週から14週の子猫の外科的な避妊去勢方法については、1993年のJournal of the American Veterinary Medical Assoc という雑誌に載っているAronsohn and Fragellaの論文(202巻:53-55ページ)と、1993年のJAVMA に載っているTheronの論文(202巻:914-917ページ)をご参照ください。
しかし、避妊去勢を行なう年齢については、獣医の間でも見解が分かれるところです。詳しくは、付録1のヨーロッパコンパニオンアニマル獣医師会連合(FECAVA)による「避妊去勢についての指針」(1998年11月)をご覧下さい。
猫の数を制限するに当たっては、早期の避妊去勢は明らかに、利点があると考えられます。
去勢手術の方法、その際の猫の扱い方の重要事項については、WSPAパンフレット「早期の避妊去勢 ― 外科的見解」をご覧ください。
(パンフレット1ページ目の翻訳) 早期の避妊去勢
早期の避妊去勢 - 猫についての(一部犬についての)外科的考察
避妊去勢は、最も古くから家畜動物に行なわれてきた外科的処置の一つですが、猫の避妊去勢を実施する適齢期については、科学的な調査はほとんどされていません。イギリスでは、昔から、生後6、7ヶ月になると避妊去勢を行なってきましたが、多くの雌猫は(特に野良猫の場合は)、この時期以前に妊娠します。獣医は、若い猫の避妊手術についての麻酔方法や手術手順を学生時代に教わりますが、これに従うのが楽だからという理由から、猫は6ヶ月を過ぎてから避妊するものだという、客観的な科学的根拠に乏しい固定観念が生まれました。これよりも早いほうが良いという獣医学的な研究結果が発表されてこなかったので、避妊去勢の時期については、獣医がそれぞれに判断してきました。
早期の避妊去勢は、繁殖年齢に達する前に不妊処置をすることです。発情期が始まる時期は、雌では4ヶ月から21ヶ月、雄は8ヶ月から10ヶ月と、猫によってまちまちです。発情期が始まる時期に影響するのは、生まれた季節、生活環境、成長が早いか遅いか、栄養状態、感染症にかかっているかどうかなどの要因です。交尾活動が活発な雌猫や雄猫が多い環境で育った雌猫や、晩春から夏にかけて生まれた雌猫は、発情期が早くなります。雌の野良猫は多くが早熟で、生後4ヶ月から5ヶ月で発情期を迎えます。そしてその後、発情期は年に3回おとずれます。
本論文では、早期の避妊去勢についての獣医学的な考え方を説明します。世界中で野良猫の繁殖対策にたずさわるWSPA所属の獣医の経験によれば、健康な子猫に腕のよい獣医が外科的処置を施し、麻酔の前後の状態を適切に管理できるなら、早期に行なう手術はなんら問題がないといいます。猫によって呼吸反応、循環器生理、薬物代謝、体温調整などが異なるので、この点については、注意深く様子をみながら行ないます。手術を行なう際には、健康な子猫であることを確認し、低体温、低血糖、失血を起こさないように、特に気をつけます。
野良猫に避妊去勢手術を行う場合は、必ずしも衛生的な環境で行なえるわけではありませんが、衛生条件が完璧でなくても、獣医は手術を行なえるようでなければいけません。子猫は弱々しくみえますが、成長した猫よりも回復がはるかにはやく、簡単で適切な手順さえ踏めば、処置はずっと楽です。手術時の獣医の緊張も少なくてすみ、回復も早いです。最新の麻酔の手法を用いれば、生後7週から12週の子猫でも、通常は安全な手術と言えます。麻酔の回復期には子猫を暖めてやりますが、驚くほど早く覚醒します(通常は30分から90分で、何事もなかったかのように覚醒します)。子猫でも、成長した猫と同じ手術手順で行ないます。臓器を識別するのは容易で、脂肪もありません。このため、手術時間は短くてすみ、腹腔内の見通しが よく、麻酔からの回復が早く、猫にとっての苦痛も少なくてすみます。
早期の避妊去勢手術を経験した獣医は、生後7ヶ月の猫の手術よりも、生後7週間の猫の手術の方が、はるかに簡単だと言っています。卵巣除去は生後6、7ヶ月の猫よりも、生後6,7週間の猫のほうが、腹腔への到達を妨げる皮下脂肪が少ないため、手術時間が短く簡単に............(次のページへ続く)
WSPAは、獣医を目指す学生のために、犬や猫の避妊去勢手術の詳細な手順をわかりやすく解説したビデオを用意しています。このビデオでは、早期の避妊去勢手術についても触れられています。
よくある質問
雌猫を不妊にする方法としては卵巣摘出があり、雄猫の場合は精管切除と睾丸摘出の2種類がありますが、精管切除はあまり行なわれません。ここでは、これらの避妊去勢手術について説明します。
動物の避妊去勢を好まない人たちもいます。以下に挙げるのは、そういった人が発する質問です。
去勢は自然の摂理に反するのではありませんか?
飼い猫が生活するのは、自然環境ではなく、人工的な人の生活空間です。飼い主が、捕食者、病気、飢えなどから守ってくれます。だから、猫という種が生存していくために、必要以上の子孫を残す必要はありません。
動物には、旺盛な繁殖欲があります。発情期の雌猫や、発情期の雌猫を見分けられる雄猫は、交尾相手を見つけられない環境に置かれると、ひどい欲求不満に陥ります。去勢手術を施せば、このような欲求不満に陥らなくなります。
避妊去勢手術は危険ではありませんか?
麻酔技術はとても進歩しており、手術の際に動物を麻酔することによる危険はほとんどありません。 雄猫の手術はとても簡単で、合併症を起こすこともほとんどありません。雌猫の手術は、切開する範囲が雄より大きいので、それなりの技術がなければ、手術後に痛みを伴わず早く回復させることはできません。
猫の習性が変わったり、太ったりしませんか?
避妊去勢手術を受けた猫は、一般に、おとなしく人なつこくなります。体重増加に大きく関係するのは食事量と運動量ですから、手術後に猫があまり活動的でなくなった場合は、餌の量を減らします。
雌猫に使える避妊ピルはないのですか?
雌猫は、プロゲステロンを注射したりピルを投与することで、発情期がくるのを防ぐことができます。この方法は、短期的な効果は発揮しますが、長期的な避妊方法としては勧められません。長期に服用すると、乳癌などの好ましくない副作用が現れることがあります。野良猫の場合には、餌に薬を混入して食べさせるのは難しいですし、避妊させたい猫がピルを服用したかを確認するのも困難です。
何歳で手術すればいいの?
かかりつけの獣医に相談してください。
雄猫の睾丸摘出手術は比較的費用が少なくてすみ、たいていの飼い主にも負担にならない金額ですが、雌猫の卵巣摘出手術は、手術に時間がかかるため、費用がかさみます。獣医に費用を払うのをいやがる飼い主も出てくるかもしれません。
手術費に対する考え方が動物保護団体と地元の獣医で食い違い、避妊去勢を推し進めるのが難しい例も過去にはありました。これは、なんらかの妥協点を見出していかなければならない問題です。
手術には報奨金を出したり、獣医には動物福祉に反さない範囲で手術にかかる経費を減らす努力を要請して、避妊去勢を推し進めていく方策を探らなければなりません。
動物保護団体や地方自治体の中には、避妊去勢手術を支援する事業を展開しているところもあります。このような事業は、さまざまな利用の仕方があります。成功例をいくつかご紹介しましょう。
1)手術代の無料券
避妊去勢を推進する団体が、失業している、あるいは年金生活をしているような飼い主に対して、手術代の無料券を発行します。猫を飼っている人は、無料券を持って、団体の活動に協力している獣医をたずねます。獣医は、猫に避妊去勢手術を施し、飼い主からもらった無料券を、発行している団体あるいは自治体に送り、手術代の支払を受けます。
このような券が、手術代の一部しか援助しない割引券の場合もあり、この場合には、飼い主が、それを超えた分を負担します。
避妊去勢手術に対して上記のような支援をしている地域や自治体では、飼い猫が産む子猫の数が減るにつれて、地域全体の野良猫の数が減るという目に見える効果があがります。この方法は、捨てられた野良猫を捕獲して殺処分にするよりも、費用効果が高く、人道的なものです。
無料券、割引券を利用する方法は、避妊去勢手術をするための専用施設の建設費用が必要ないという大きな利点があり、地域の獣医も恩恵を受けられるというおまけもつきます。この種の計画は、長期にわたってよい成績を収める傾向が高いようです。
2)避妊去勢を行なう病院
避妊去勢は、一般の動物病院が通常の診察時間外に行なってもいいですし、避妊去勢専門の施設を開設してもいいでしょう。このように避妊去勢手術を特定の場所に集中させれば、必要な経費が少なくてすみ、手術費を安く抑えることができます。アメリカ合衆国では、このような体制が普及しており、避妊去勢にかかる費用がかなり安くなりました。
避妊去勢手術は、通常は営利的な運営がされていますが、動物保護団体や自治体と連携して運営することもできます。たとえばアメリカ合衆国では、避妊去勢専用の公共施設を、動物繁殖対策の一環として地域が運営しているところもあります。このような施設は、開設時には自治体の補助(個人による支援の場合もある)を受けていても、相応の猫の避妊去勢手術の実績があがってくると、採算が取れるようになります。
獣医も、このような避妊去勢事業に協力すれば一般市民の認知度もあがり、新たな顧客を獲得できることに気付くでしょう。
新たに避妊去勢専門の施設を造ることは、地元の獣医を疎んじることにもなりかねないため、できれば協力体制を築くようにしてください。
3)獣医チームの海外訪問
避妊去勢についての考え方が未熟な国や、手術の技術水準が低い国を、避妊去勢手術の技術を有する獣医が交代で訪問する活動を行なっている組織もあります。しっかりした計画に基づいての訪問であれば、このような獣医が来てくれることは、地元の猫の保護団体には大きな助けになります。なかでも、リゾートホテルに居ついてホテルの経営者から厄介者扱いを受けている猫の避妊去勢を目的とした計画が、最も大きな成功を収めています。ホテル利用者は、このような野良猫に同情する場合が多いので、適切な避妊去勢計画を実施すれば、みんなが安心します。
たとえこのような獣医に来てもらっても、地元の獣医に避妊去勢手術の技術を部分的に指導してもらうにとどめるのが理想的です。国によっては、その国の獣医士の資格を持っていないと、獣医師会や関係行政当局の許可をもらわなければ、獣医師としての活動ができない場合もあることを忘れないようにしてください。