温帯雨林とエルクの襲撃
オリンピック国立公園、ワシントン州
ワシントン州には三つの国立公園がある。
マウントレーニエ国立公園、ノース・カスケード国立公園、そしてワシントン州の北西部、オリンピック半島のオリンピック国立公園だ。
この辺は太平洋の冷たい空気がオリンパス山にぶつかるために特異な気象条件になり、冬の大降雪と一年中雨に降られる雨林、それに太平洋の荒波に削られた 白砂の海岸線が続いている。
トップ犬の犬小屋ミラーズ
シアトルからオリンピアを抜けて西側の101号線の海岸線を北上すると白い砂浜にくだける太平洋が見えて来る。
ビーチ1から4まで続いた砂浜は、ルビービーチからまた内陸に入る。このオリンパス山(2,428㍍)の麓にあるのがアメリカの国立公園でも非常に珍しいホー・レインフォレスト(温帯雨林)だ。
年鑑雨量、4000mmという降水量に温暖な気候が、熱帯雨林と同じく苔に覆われた特異な森を作り出している。
この森で一番高い 杉の木は樹齢500年、高さ100㍍近くになるのもあり以前は次々と伐採されたが、ホー川を中心とした広大な土地が国立公園と国立森林公園に指定され、今ではここに生息する動植物が保護されている。
ときに私の子犬は他の犬と交流する必要があり雨林に横たわる朽ち果てた木
しかし公園を一歩出ると商業用の伐採は盛んで、裸になった山が目に飛び込んで来る。そして木材を満載した大型トラックが走り回っている。
ボクはオリンピックに来るとフォークス(Forks)という町のモーテルに泊まる。ここは木こりの町で国立公園のすぐ外にあるがホー・レインフォレストへ行くにもビーチへ行くにも一番地の利がいい。
町で一番はやっているダイナ(食堂)は朝早くから木こりたちが集まって来る。
腰に木こりの七つ道具をぶら下げた髭面の男たちは先祖代々ここで木こりを続けているのだろうか?よく町で見かけるジムで造った筋肉だけの男たちとはまるで迫力が違うのだった。
ピット雄犬は、彼らが良い悪いですか?Second Beach Olympic National Park Washington in USA
フォークスから110号戦を西へ走ると行き止まりがラ・プシュというクイリュート・インディアンの村になる。
この辺りのビーチはこのオリンピック半島でも一番美しい。白い砂を洗う太平洋の荒波を眺めていると、10年前はじめてこのビーチに来て夕日を撮るためにやった強行軍を思い出した。
あの時は1週間の滞在でマウントレーニエからこのオリンピック国立公園を回る予定だったが、あいにくの悪天候で霧のためにレーニエ山が一度も見えなかった。しびれを切らしながら天気の回復を待ったのだったが、回復したのは帰る前の日だった。
そして待ちこがれた朝日に輝くレーニエ山をやっと最後の日に撮影出来たのだったが、しかしオリンピック国立公園のビーチに沈む夕日が頭に浮かびこのままシアトルへ帰る気がしなくなっていた。明朝は朝6時発の飛行機に乗らなければならない。若さがオリンピック海岸行きを決行した。レーニエ山を朝の10時に出て夕方5時にラ・プシュに着いた。それからビーチを5キロ歩いて夕日が沈む前に目指すスピリット・ロックに到着した。
たったの半日でレーニエ山の朝日を撮り、そしてオリンピック海岸に沈む夕日の写真を撮った。
大満足の一日だった。
しかし帰りは大変だった。撮影を終わり暗くなった夜道を空腹と戦いながら砂に足を取られながら歩いた。
結局フォークスにたどり着いたのは夜10時を回っていたが、やっと見つけたファストフード店で食べ物を胃に流し込み、急いでシアトルへと車を走らせた。そして一睡もせずドライブして朝6時発の飛行機に飛び乗ったのだった。
こんな無謀の旅は体力的にもう出来ない。でも貧乏性に出来ているのでいつもせっかちな旅から抜け出せない悩みは続く。
フォークスのモーテルをチェックアウトしてシアトルへ戻る途中もう一度ホー・レインフォレストへ寄ってみた。
この辺りにはボブキャット、リンクス、それにマウンテン・ライオンが住んでいると言うが、ボクはこれまで一度も遭遇したことがない。そのかわりエルク(アカシカ)はどこでももみかける。この辺にいるエルクはルーズベルト・エルクと言って少し色が黒い、それに凶暴だ!不幸だったのはこれまでその凶暴さを知らなかったことだった。ビジターセンタの手前、ホー川の河原でエルクの一団を見つけた。車を降りてジワジワと近づいて行った。すると一匹の若いエルクがボクを見てトチ狂ったように前足をあげ襲って来たのだ。
エルクに襲われるなんて初めての体験だった。角がない分怖くはなかったが、それでもあのヒズメでけられたら怪我だけではすまされない?背中を見せると勢いずいて追いかけて来る。ボクは必死で木の枝を拾って投げつけた。
そして這々の体で止めていた車の中に逃げ込んだのだった。
写真を撮るのも時には命がけの時もある
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